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研究テーマ

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イットリア安定化ジルコニアフラッシュ焼結体における新規蛍光特性

セラミック圧粉体に電界を印加しながら昇温すると、ある温度において電流が急峻に増加し、瞬時に焼結が完了する現象が現れる。この現象を利用した焼結法はフラッシュ焼結法と呼称され、通常焼結法に比べ低温かつ短時間での焼結が実現可能である。一方、このフラッシュ焼結法で作製された多結晶体において、通常焼結体では発現することのない蛍光特性が現れることが見出された。例えば、イットリア添加ジルコニアでは、室温においてブラックライトを照射すると青色の蛍光が生じる。しかしながらこの蛍光に関する詳細は未だ明らかにされていない。本研究ではこの蛍光特性の発現機構の解明を行っている。
【Researcher 伊藤 亜紗】

Caption:ブラックライトを照射し青色蛍光を発するイットリア添加ジルコニア

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速度制御フラッシュ焼結を用いて作製したYSZの機械的特性の評価

セラミックス圧粉体に電界を印加させながら昇温していくと、ある臨界温度において圧粉体を流れる電流が急峻に上昇し、ごく短時間のうちに緻密化が完了する特異な現象が現れる。この現象を利用した焼結法はフラッシュ焼結法と呼称され、従来の焼結法と比較し低温・短時間での焼結が可能であることから注目を集めている。しかしながら、優れた機械的特性を有する高密度かつ微細組織が制御された焼結体の作製には課題が残されている。そこで、本研究では焼結体の高密度化及び粒成長抑制に効果的であると報告されている速度制御焼結法に注目し、この焼結法をフラッシュ焼結法と組み合わせた速度制御フラッシュ焼結法を用いることで焼結体を作製し、ビッカース硬度及び破壊靭性値の評価を行っている。
【Researcher 石野 佑樹】

Caption:焼結体に打ち込まれたビッカース圧痕.亀裂の長さから破壊靭性を評価する.

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基板表面に形成された酸化膜がALD薄膜の結晶性へ及ぼす影響

原子層堆積 (Atomic Layer Deposition:ALD)法は成膜基板表面に原料ガス分子が1層吸着し,それ以上は吸着しないという自己停止機能を利用し,一層ずつ原子を堆積する手法である.ALD法は主にトランジスタのゲート絶縁膜形成に利用されている.このゲート絶縁膜が高い結晶性を有すると,結晶粒界からリーク電流が発生してしまうため,ゲート絶縁膜の結晶性制御が不可欠である.本研究ではALD法により形成された膜の結晶性に,成膜基板表面上の酸化膜が与える影響を調査している
【Researcher 大川原 彩恵】

Caption:Si基板上へ形成したAlOx膜の成膜界面付近を測定したEELスペクトル.AlOx膜内部と成膜界面ではAl L2,3のピークの挙動が異なっており,成膜界面のAlOx膜は内部よりも還元された状態である.

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複合酸化物結晶の表面ステップテラス構造制御技術の開発

薄膜結晶材料において、結晶性が高く、洗練された物性を発現させるためには、表面原子構造が精緻に作り込まれた基板結晶が必要不可欠である。本研究テーマでは、基板材料としてしばしば用いられる複合酸化物結晶に注目し、その表面ステップテラス構造を高度に制御する技術開発に取り組んでいる。具体的には、複合酸化物結晶の陽イオン空孔形成エネルギーを変化させることにより、表面に現れる晶壁面、その最終端原子構造、ステップエッジ構造などの制御を行う。図はLSAT基板結晶の表面構造に影響を及ぼすイオン配置の規則構造の一例。 【Researcher 山本剛久】

Caption:LSAT結晶中に形成される規則構造のHAADF-STEM像。各コントラストの位置が単原子カラムの位置に直接対応している。結晶内の原子配置が規則的に変化していることが分かる。

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PLD法により作製されたBaTiO3薄膜における微細構造の解析及び物性評価

チタン酸バリウムは、室温で強誘電性を示し、非常に大きな誘電率を有しているため、セラミック積層コンデンサなど誘電体材料として幅広く利用されている。また、近年、薄膜材料としての応用の期待から薄膜成長に関する様々な報告がされている。しかし、陽イオン比が化学量論比からずれることによって導入される欠陥構造が、物性に与える影響については未だ報告例がないのが現状である。そこで、本研究では、パルスレーザー堆積(Pulsed Laser Deposition:PLD)法を用いて、陽イオン比が異なるチタン酸バリウム薄膜を作製し、その微細構造の観察及び物性の評価を行っている。
【Researcher 河野 竜大】

Caption:チタン酸バリウム薄膜界面近傍のHAADF-STEM像

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SrTiO3のフラッシュ焼結挙動に及ぼす
微量陽イオン比変化の効果

セラミック圧粉体に電界を印加しつつ昇温すると、ある温度に達したところで試料中の電流値が急峻に上昇する。この電流値の増加とともに、圧粉体の収縮が急激に進行し、緻密化が速やかに進行する。この現象はフラッシュ現象と呼ばれており、電界印加によって引き起こされる点欠陥構成と密接に関係していることが報告されている。本研究では、極僅かな陽イオン比の変化で欠陥構成が大きく異なることが知られているSrTiO3(Sr=1.002、Sr/Ti=0.999)を用いてフラッシュ焼結実験を行い、通常焼結の場合と焼結挙動を比較した。通常焼結ではこの二つの試料において大きな違いは認められないが、フラッシュ焼結ではわずか3/1000という陽イオン比の変化にも関わらず、Ti過剰試料(Sr/Ti=0.999)はSr過剰試料(Sr/Ti=1.002)と比較してフラッシュ温度が非常に低下することが明らかになった。
【Researcher 吉野隆晃】

Capton:Ti過剰試料の粒界におけるEELスペクトル。
粒界に酸素空孔が導入され、Tiが3価になっていることを示している。

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超微粒WC粉末を使用したWC-Co系超硬合金の異常粒成長

切削工具に用いられるWC-Co系超硬合金はWC粉末とCo粉末の混合焼結により作製される。この合金強度は、WC粒子径に依存するため、WC粒径を微粒化することが求められている。しかし、超微粒合金作製のために超微粒WC粉末を用いて焼結を行うと異常粒成長が発生するため、技術開発上の問題となっている。本研究では作製条件の異なる合金を、電子顕微鏡を用いて観察、比較、解析を行うことで異常粒成長の原因調査を行っている。
【Researcher 澤田 留加】

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イオン環境電子顕微鏡法の開発とその応用

ガス環境電子顕微鏡法は材料とガスとの反応を観察することができる手法として触媒材料開発等に利用されてきたが,観察に必要となる高エネルギーの電子線照射により,雰囲気に存在するがすがイオン化し,それに伴って発生するイオンや運動量移行された気体分子が観察対象となる試料に影響を及ぼしていることが判明している.電子線照射によって発生するイオンを積極的に利用することで,これまで誰も観察し得なかったイオン環境中の材料の変化過程の原子レベル観察に挑戦している.
【Researcher 徳永 智春】

Capton: イオン環境コントロールを可能とするTEM用ホルダーベース

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